老いのひとこと

似ても似付かわしくはないが其れでも何処となくモクレンの花芽をよく見れば深山に咲くザゼンソウを彷彿とさせる。

姿かたちは全く別様なれど、嘗ての65年むかしの菊水の山里を思い起こす。

そして其処には上野正明君の笑顔が重なり合う。

植物博士の彼からは道すがら草花の含蓄あるレクチャーを承ったことを昨日のように思い出す。

 

小原のバス停から十数キロの雪道を踏破した脚力は今は何処へ消え失せたものか。

 

何時も馬替の街角のモクレンに目を遣る日課をやっとの思いで日々クリアする。

しかし此れとておのれに取りては掛け替えなき生きる糧になる。