老いのひとこと(58)

昭和10年亥年にわたしは父忠勝母としのもとに生を給わった。

以来、役立たずの身、ただ無為無策の人生をひたすら無下に走り抜けた。

世のため人のためならず独り善がりな偏屈者は只々おのれを卑下する日々を送り通した。

ただそんな中、唯一の取り柄が我がルーツを必死の思いで探り求めたことになる。

役立たずの人生を忠勝ととしに詫びるためにも見すぼらしい能力に鞭打った。

そして、大橋源左衛門と津田一幽を突き止め歓喜の渦に身を呈した。

 

取り分け10年むかしの2013年1月末日足柄山の金太郎ではない野田山の金太郎を探し求めて雪中を彷徨いたせば月の輪熊と思しき生物に偶然にも出くわしたのです。

舟田敏氏との出会いの馴れ初めになる。

爾来、彼との交誼の中幾多の貴重なる御知恵やサゼッションを戴きしがない我が人生に只ならぬ彩りを添えて貰いました。

取るに足らない我が人生に充実した厚みを付与して戴きました。

有り難い事です感謝申さねばならないのです。             完