老いのひとこと

トットちゃんは小児麻痺の泰明ちゃんを樹の上に登らせ下界の様子を具に見せてあげたい。

一途な此の思いが思いも及ばぬ大冒険談へと発展する。

脚立の上に横たわる泰明ちゃんのケロイドのようにくっ付いたままの細長い手を小1のトットちゃんがしっかり握りしめ死に物狂いで樹上まで引き摺り上げた。

フックションではない実話だという、信じ難いことを此のトットちゃんと言う幼き少女が成し遂げたものだ。

目頭が熱くなり止めどなく涙が頬を伝う、此れは差乍ら生きた仏が此の世に再来したも同然ではないか。

トットちゃんは紛れもなく袈裟姿の聖僧そのものではないか。

分け隔ての無い此の美しい人間愛、此れは巷の僧侶以上の存在なのだ。

恐れ入りました黒柳徹子さんを頭から見直します尊崇の念を抱きつづけます。

 

 

併せて公権力に身に絡め形に嵌まった画一的人間製造に営々と勤しんだ我が半生を衷心より恥ずる穴が在れば頭から身を隠さねばならない。

トットちゃんご勘弁願います赦してください。