老いのひとこと

此れは鼎の第二作目ではない、一作目の鼎第一号になる。

桜の頃だった、家内が清掃中に故意ではないが四本の脚を見事に圧し折って一たび絶命してしまった粘土細工ではあるが懸命の措置効を奏して今ようやく陶器としての命をより戻したことになる。

バラバラの個体のまま素焼きし、接着面に懇ろに撥水剤を施し釉薬に浸し本焼きした。

ボンドEセットクリアを練り合わせ脚を本体に固定した。

曲がりなりにも体裁だけは整えた、わたしの「鼎」第一号作が斯くしてデビューした。

 

此の鼎姉妹作は共に優劣付け難い記念の品だ。

 

尤も四脚の長さ揃わずびっこを引く、更に器の一角が剥離し致命的傷を負ったが此ればかりは如何ともし難い。

置物としての用を足せばそれで充分ではないか。