2026-06-10 老いのひとこと サンテイノ号を押しながら馬替中橋を渡り切る、其処には大きな柳の樹と枝垂れ桜に隠れるように一本のビワの木がある。 ビワの実が日毎に熟れて円熟味を増す、とは言えど実は小振りだ、精々がナツメほどで小さい。 もしピンポン玉級なら誰しも黙ってはいまい、「李下に冠を正さず」の譬え通りに横目で睨んで過ぎるのだが、 とうとう誘惑には勝てずに地上に落下した数個を失敬しポケットに忍ばせて仕舞った。 いくら完熟品と云えども皮をむいて頬張れば種ばかりが大きくて美味いところは舌の先に微かに残るだけとは余りにも情けない。 家に帰り暫し思案の末グッドアイデアが思い付く。 ヘタを取り皮ごと種ごと鍋に入れ、味醂・料理酒・焼酎に砂糖・オリゴ糖・ハチミツに塩少々にクエン酸一つまみ加えてとろ火で煮立てる、延々と煮詰める。 甘酸っぱいシロップ風の液体の中に微かに原形をとどめた鄙びた物体あり。 絶妙の味、此れまさに絶品なり。 疲労回復の妙薬なり。