老いぼれへぼ剣士の夕雲考《38》

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この画像は、大森老師の刃挽きの形を捉えた貴重な資料で、『剣と禅』の巻頭に掲載されたものをお借りした。
直心影流では剣を真向斬り下ろす際、その反動で透かさず右足を振り上げる。
一つには、敵の急所を蹴り上げる所作だという。また、斬り下ろす刀剣の刀勢が倍化されるともいう。
何よりも、この不条理ともとれる不自然な体勢であっても難局に直面したならば如何に活路を見出し打開策を展開するかに全てが掛かるのである。
それを無言で教えている。
急峻な坂道で為しても重心低く安定しているのはさすが。
 
 
まとめ(4)=その1
 
⑦  天竜寺の管主花園大学の学長であられた大森曹玄禅師は、また山田次郎吉氏の愛弟子の一人として直心影流の代表的剣士でもあられた。
曹玄禅師は著書の中で「人間は過去の必然を未来の自由に転ずる主体性を持つ。
また人間は、わが命を能動的に創造的に展開できる」のだと主張された。
つまり、過去に於ける勝負事には必然性がった。強きが勝ち弱きは負けて死に至る必然性があった。
処が未来に於いては、人間はもっと主体的にわが命を能動的創造的に展開してゆく自由があるのだと主張なされた。