老いぼれの愛犬日記《26》

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うちの犬の就寝前の仕草を今も忘れてはいない。
 
10時を過ぎるとお休みの時間となる。 決まってわたしはりりを連れ出し家の前の道路脇の植え込みで小用をさせた。
心得たものでりりは腰を屈めて小用を足した 。
分別がよかった。聞き分けのよいイヌであった。
我が身の失禁を未然に回避しようとイヌもイヌなりにちゃんと心得ている。
飼い主たちへの迷惑も (わきま)えていた。
不要となった車の足拭きシートを重ねて専用ベットとして宛がっていた。
指差して、“ねんね、おやすみ”といえば
素直に (うずくま)ってくれるまではよかったが、間を置かずして就寝前の不思議な仕草を仕出かすのだ。
 “ううーん、ふふーんと頓狂な唸り声と共に四足をぎしぎしと掻き (むし)仰向 (あおむ)けになってベットに体を (こす)りつける。
 一種異様なる快感を覚えるのか脇目も振らず (しば)し続けるのでした。
 すると、わが愛犬リりは (いびき)と共に爆睡に至るのです。
 そいつが居なくなってもう8か月ベット代わりの車のシートは今も片隅にある。