今年も手書き手作り賀状の時期がやってきた。
十数年来の慣わしとなり左程の苦も無くむしろ意気込んで取り掛かれることが不思議でならない。
下手でも構わぬ自分の手で創り出すことに何故かしら意欲が湧きいずるのです。
先ずは自己流の句を詠む。
年の初めに相応しいものにしようと思えば難しいので適当に創る。
何と言ってもあの真夏の頃にマムシ騒動の渦中の人となり生きた心地がしなかった地獄絵図を・・・
飛語流る
七十五日の
真むしかな
何やかや手当たり次第に武芸の真似ごとに手を染める成らず者を自嘲気味に・・・
弓に剣
居合揃えて
春の陣
幼かりし孫たちが大きく成長し来春には受験の試練に立つ、強き願望を込めそれとなく・・・
あれやこれ
花咲き匂ふ
卯月かな
これだけは文明の利器プリンターに任せるしかない。
朱色のスタンプ台を敲いて住所印を押しまくる。
壱百枚に届かぬ枚数だが或る意味全身運動に近い。
しっかり汗をかく。
次いで、毛筆に挑戦する。
小さな文字は何とも無惨な形状を来たすが、それでも悦に入り書き捲くる。
字は体を表すという。
願わくは、文字面に誠の意が籠もれば良かろうと慎重に筆を執るが見るからに乱雑で品がない。
日付や年頭の言葉は同じ文言だが一枚一枚みな違う。
得心の行く文字にはなかなか到達しない。
文句なしの正面打ち、納得ゆく鞘離れの抜き打ち、無心の内に会から離に至る射には滅多なことでお目に掛かれぬと同じだなあと感心したりする。
たかが賀状一枚にしろ誠の意を籠めるべく意を注ぐのです。
一期一会のこころがこんなところにもあることにふと気づくのです。
二十八日の夕刻には投函を済ますことが叶ってよかった。