老いぼれの独り言

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 お医者さんのおっしゃることは金科玉条として大切に守らねばなりません。
 当たり前のことでしょう。
 とは言うものの、医師の指示に従うことに依って返って精神的ストレスに追い込まれるケースもひょっとしてあり得ることかも知れません。
 
 不埒なことを申すのだが、医師が患者に対し此れ以上病状を悪化させない為の一番安易にして且つ最善の方法は絶対安静だと思うのです。
 此の絶対安静により病状が沈静化しやがては治癒していく保証が担保されるのであれば話しは全然別のことになる。
 もしそうであるならば、遅ればせながらも5月2日をわたしの手術予定日に設定すること自体そもそもおかしい事になる。
 治癒に向かうどころか症状が改善されない前提で5月2日が設定された。
 だとすると、その間半月間もただ手をこまねいて何もせずに只じっと手術と云う最終事態を迎えねばならない。
その日まで只ひたすら静観し座視しつづけることは此のわたしにはどうしても合点がいかなかった。
 
 幾ら厚顔無恥な存在でも目の前の医師に対し異論や反論で以って反駁を試みる度量は此のわたしにはあるはずがない。
 静々と従うしかなかった。
 
 その翌日、何時ものラジオ体操の会場で馴染みの先生に相談を持ち掛ければ無理をしない範囲内で極力からだを動かし患部を固定化しないように自分で自分の身体を制御する事は当然の成合なのだと淡々とおっしゃったではありませんか。
 強力な味方からの援護を得て安堵した。
 
 医師と云う尊厳な立場を覆し度外視する不遜な態度は決して赦されるはずもないがわたしは絶対安静を図らずも否定し去ることを決意した。
すべて自己責任の下わが患部をシゴキ酷使することを決断した。
即刻、額谷に籠もり額四峠を駆け抜けラジオ体操に精を出した。
麻痺寸前の右脚に電気が走り激痛が全身に及ぼうとも克服に至る一筋の光明を信じて『非切』の極意を貫き通すことを誓った。