老いのひとこと

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義父からの形見分けの釣竿を一本所持していた。


加賀竿の制作技術を継承為される特異な御方より立派な作ではないかと賞賛の辞を給わっていた。


銘こそないが名たる竿師の手に掛かったものに相違なかろうとおっしゃるではないか。


思い切って修理を依頼したものが先日届けらえた。


見違える作品に生まれ変わり正直驚いてしまった。


さすが加賀藩の伝統工芸品「加賀竿」の名に恥じぬ素晴らしき逸品が我が荒屋に届けられたことになる。


修理の仕様書を見れば破損個所著しく「玉口割れ」「玉口剥がれ」「胴割れ」「込み割れ」「込み剥げキズ」「段捲きキズ」「穂先先端欠け」等々相当傷み激しく


施したウルシは何と七種類もあった。


「麦漆」「芽漆」「黒蝋色漆」「茶色漆」「朱漆」「サビ漆」「摺漆」などを数回に分けて置いて数回に分けて研ぎ出し磨き出したものらしいのです。


色艶や光沢、肌触りや滑らかな手触りからは超一流の美術工芸作品の気品が漂っているのです。


外様の雄、加賀百万石の前田の殿様たちは江戸幕府に気兼ねし気を遣って鼻毛を切らずに伸ばし放題にして弐心なきを示したという。


家臣の剣術修行をも憚ってもっぱら犀川浅野川の河原で鮎釣り修業で肩代わりをさせたのだという。


そこら辺に「加賀竿」の名前の由縁があるらしい。


竹刀の代わりに竹竿を振って足腰を鍛えたとは何ともユーモラスではないか。


毛鉤を用いたドブ釣りだったらしい、当たりに合わせて打突の機会を会得したのでしょうか。


或いは先先の読みで当たりの気配を察知して「先の技」を磨いたのかも知れません。


待ち剣と合わせ技ですか、なかなかやるね。


そう云えば加賀藩の剣客と云えば・・・