老いのひとこと

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掛かり付けの歯医者さんは此のわたしに8020賞という金沢市民栄誉賞の受賞のチャンスを当てがおうと虫歯の治療の為にとても良心的に取り組んでくださるのです。


処が、わたくしには格別痛くもないのに治療台に乗せられ例の小型グラインダーでギイ━━━とやられるのが堪らないのです。


誰とて同じ心境だろうとわたしは失礼ながらも陛下のお顔を思い浮かべるのです。


陛下とて同じ思いで耐え忍んでいられるのならば我が輩だけが弱音を吐くわけにはいくまいぞ。


耐え難きを忍ばねばなりません。


ところが歯髄の核心に触れると飛び上がる癖がある。


先生は「危険」だから痛いときは手を挙げなさいと忠告されるが手を挙げる先に体が先に反応し飛び跳ねていまうのです。


陛下専属の歯医者さんはどのような治療を為さるのかと遂そのような思いを巡らす内にようやく終わるのです。


処置が終わってから先生はわたしの顔を見て「シャツのポケットが背中に付いてますよ、裏返しですよ」


と何気なく語られたのだが多分に同情心が込められているようにさえ感じたのです。


我が身の失態を恥ずかしい思いで歎き悲しみ自嘲気味に笑ってしまうのです。


なぜ、先生は治療の先ではなく治療の後に此の話しを為されたのであろうか。


斯くなる詮無いことに思い巡らす救いようのない程詰まらぬ人物になってしまいました。


やはり、齢のせいでしょうか。