老いのひとこと

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形あるものはみなその姿を失い消え去ってゆく恰も盛者必衰の理の如く。


詠み人知らずの「いろは歌」を口遊むまでもなく此のわたしには桜の花が咲き始める先にもう花びらが一枚一枚散り果てようとしている。


両手の中の大事なもの大切なものがあたかも掬った水が零れ落ちるように次から次へと失われゆく。


ああ寂しいかな恨めしや


やはり寄る年波には勝てません。


体力はともかく問題は気力です、此の気力でカバーする以外打つ手が在るはずがない。


処が要の気力萎え遂に崩壊、脱落、落伍に敗北が次々襲い来るではないか、止め処なく押し寄せるのです。


あれよあれよという間に目の前を雪崩を打ってながれ去る。


 


*あれほど惚れ込んだお執心の陶芸にも限界を感じ潔く手放すことにした。


 


阿波研造に魅せらえて心の的を射抜くことを夢見たがやはり同じくおのれの限界に気付いた。


 


*六水会の名前が気に入った善き剣士に恵まれ剣風にも馴染んだがただ一つ稽古の時間帯が合わなかった事にこじ付けて身を退いた。


 


*ノボール同好の六人衆と炎天下はたまた残雪踏んで極寒のグランドで投げては打ちよくぞ捕球したものだった。


 


*魚釣りも山菜取りもとうのむかしに手を退き登山もスキーも断念やむなし仕方なし。


 


 


これぞ争えぬ世の定め、目を瞑り受け容れるしかない。


昔者は消え去るのみ此れ自然の成り行きであり鉄則なり。