老いのひとこと

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小作人であれば当然地主さんへ小作料を払いましょう。


ところがわたしはわたしの地主さんへは別段小作料は払ってはいません。


その代わりに地主さんのお手伝いがてらあれやこれや勤労奉公をいたすのです。


草むしりに始まり耕運機を運転し、そして畝立て作業に苗植え種子蒔きと一通りの体験はさせて頂いたことになる。


何分指示待ち人間では宜しくはなかろう、自分で仕事を探せるように相勉めねばなりますまい。


 


わたしの地主さんである鶏小屋のやっさんは或る日のこと、色々有り難う慰労会を兼ねて温泉にでも行きましょうと声を掛けて呉れたではないか。


さつまいもの収穫祭を兼ねた慰労会をわたしのために設けてくださるとは結構な話ではないか。


ところが実は加賀温泉郷の温泉宿ではなく吉野谷村の白山里と云うお風呂屋さんで一風呂浴びるだけの歓待ではあったのだがやはり嬉しかったですね。


あの鳥越一向一揆山之内衆の活動の拠点でもあった瀬波集落の外れの温泉湯に浸かれただけで大満足だった。


恐らくあの往時には戦火の合間に此の湯を浴びて打身切傷を癒し束の間の安堵を得たであろう若き山之内衆の姿が彷彿として甦ってきたのです。


 


もったいなくも小作人が地主さんから持て成しを受けたことになる。


帰りには釜清水のお豆腐屋さんででっかい堅豆腐までお土産に頂戴してしまった。


更に困ったことに福正宗の一升瓶をどーんと突き出して持って行って下されと頭を下げられたではありませんか。