枝豆が成長し完熟すれば大豆になる。
その大豆を地中に浅く植え込んだ。
鳩ぽっぽに豆が欲しけりゃそらやるぞと蒔いたのではない。
盗られたら一大事とネットを被せて置けば二週間も経てば正直なものです芽が動き始めているではないか。
小躍りする程ではないにしてもこんなわたしのこころも動く。
他人様の所有物であったにしろヤッターと自ずと声が出る。
何故かしら不思議なものだ。
あの名画でジミーが満身の笑みをもらして大豆畑の大地に頬ずりする場面を彷彿とする。
相場で充てた大金を父親の誕生祝いに持参すれば逆に激しく叱責されそれでもジミーは父に抱擁を求め失意の後ろ姿で親子の愛の葛藤を何とも実に見事に演じた。
貧弱なわたしが演ずる大豆畑には何らロマンの欠片の一つもありゃしない。
でも、あの名画の一場面と重ね合わせてあのジミーもこれと同じ豆と格闘したのかと思えば微笑みが自ずと漏れてくるではないか。