老いのひとこと

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今回の古文書のお勉強は「地方文書を読む」でした。
地方と書いてジカタと読むと教わった。
地方とは村方のことであり村方三役の方々が取り交わした文書のことのようです。
此の史料は押水組四十一ケ村の組頭に当たる庄助名のる十村役が加賀藩の群奉行を勤める神保舎人ら宛に年貢取り立ての段取りを上申した書状のようです。
此の文面をつらつら目を通せば
村方三役とは言え元を質せば百姓の身でありながら実に天晴れなる教養の持ち主で在られることに先ずは驚嘆する。
込み入った複雑な内容を実に簡潔な文面にまとめ上げる其の力量たるや大したもの只々舌を巻くばかりなのです。
講師の先生から頂くテキストには「原文」と原文の文字を読みやすい字体にした「釋文」と更にそれを訓読した「読み下し」が添付されるのだが此のわたしには幾ら読み下し文を吟味して熟読してもチンプンカンプン情けない限りなのです。

「読み下し」は次のような文になります。
【私才許押水組四十一ケ村、定免・新開共、当作立毛秋縮御請、今九日迄に取り揃え、印形見届け、御改作所へ御注進申し上げ候に付き、この段御達し申し上げ候、以上】

此の「読み下し」文をわたしなりに意訳すれば次のようになりました。

【私は押水組に属する41カ村の事務方責任者であります。
此の度は定免と云う旧来からの水田と新規開墾した水田から秋には年貢米を間違いなく上納いたす旨その作付の割り当て計画書を今日9日までに取り揃え捺印も確認した上御改作所へ急いでご報告申し上げますので此の事を御通達申し上げまする次第です。以上】


古文書をお勉強する上で二つの難関がある。
一つは崩し字の解読
もう一つは独特な難読用語



*才許=サイキョ=事務取扱上の主任格(事務長)
*定免=ジョウメン=年貢米の取り立て法の一つ(過去数年の平均値)
*新開=シンカイ=新たに開墾された田畑
*当作=アタリサク=(中国語)・・・として見做す
*立毛=タチケ=田畑で生育中の農産物
*秋縮=アキチヂミ=秋の収穫時に年貢米を間違いなく上納すべしと年貢の割り当て令書を出すこと
*御請=オウケ=御受け
*印形=インギョウ=判子の捺印
*御改作所=ゴカイサクショ=郡奉行の別称か?