老いのひとこと

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今日の日柄は赤口であることを後で知った。


 


年末寒波の予報が出たので墓参りを済ませて置こうと奮い立った。


背戸の野菊を手折って本家の分をお参りしてから17番観音様を左折し清三郎の下へ参道を急いだ。


小堀家の墓地を左手に望んで目を透かしてみればカソリックの洋墓が目に入った。


何か可笑しい眼の錯覚に違いなかろうと近付けば何と無いではないか在るべきものが無いではないか。


忽然と此の世から墓石が姿を消した。


眼を擦れども無いものはない。


これぞまさに茫然自失、血の気が引いてゆく。


後ろ頭がハンマーで砕かれはらわたが抉り取られへなへなと崩れ落ちんとする。


 


と同時に此のわたしは亡きものにされ実体亡き愚かな存在に過ぎなかったことが凄まじい勢いで脳裏を走る。


 


しかし能々考えてみればわたし如き能なき存在であれば然もありなん。


此のわたしには口をはさむ余地なんか何処にも無い在るはずが無かろう。


だからわたしの出る幕ではない。


黙って黙認いたそうとわたしなりに努めた。


でも寂しさと虚しさが無上にこみ上げる。


 


 


此れは不可解だ、どうしたことか当人のショックでわたしのデジカメまでもが異状を来たし作動しない。


レンズの窓が開いて呉れない。


これは霊界の仕業だろうか、レンズさえもが目を閉じたまま開けようとはしない。


 


此の怪奇現象にはわたしはどうしても理解できなかった。


気味が悪い。


怨霊の呪いが怖い。