2022-09-12 老いのひとこと 川向こうの小学校には子どもたちが決して軽い足取りとは言い難いが三々五々、登校するいつもの光景を目にする新学期を迎えた。 ハチャメチャに奇声を発して飛び跳ねるような子は居なくなった、みな静かでお利口さんだ。 朝めしを摂りながら窓越しに薄ぼんやりと此の様子を眺めたりする。 其れは春先の頃からの出来事なのだが一人の若いお父さんが我が子の登校を見届けようと校門前まで同伴し暫しの別れを惜しむのです。 母親なら兎も角少しばかり奇異に思いつつも或いはひょいとして父子家庭の間柄かも知れないと善からぬ勘繰りを入れたりする。 手を振って父子の挨拶を交わし、それだけでは済まない父親は暫し其の場に佇み3階の廊下の窓から何らかのシグナルを見届けてから家路に就かれるのです。 此処まで深き父子の美しき情念をあからさまに見せ付けられなんとなく羨ましくもある。 今日は雨傘を背にする後姿がどことなく寂しげに映った。