下手糞老いぼれ剣士の独り言

日本剣道形心得覚書=《中》

6 六本目で、仕太刀は下段から打太刀の鍔元目指してじりじりと攻め上げてくるので、打太刀耐え切れずに右足退いて左上段にて下がる。
 この時、仕太刀は打太刀下がるを見て、すかさず速やかに打太刀左拳めがけて鋭く大きく一歩攻め入る。この動作極めて仰々しく大袈裟すぎてもよい。(大きく出ないと間合いが遠くなり届かぬ位置での小手の応酬となろう)
 攻め入られたので、打太刀さらに左足退いて中段へ変化し、間を置くことなく小技の小手へゆく。仕太刀それを摺り上げ勝負は決着す。
 打太刀、参ったと大きく左斜め後ろへ体を退くので仕太刀おもむろに残心姿勢と相成る。
 当たり前のことながら仕太刀が残心姿勢に入るので打太刀が退くのではない。
7 七本目で仕太刀が胴を切るに際し、手首の返しを90度にして真横に切り離すのか、それとも手首の返しを45度にして袈裟に切り右膝着床時に刃先を右水平へ向けるように修正を試みればよいものか、当方は後者の方が自然な振る舞いのように思える。粋を極め聖域に居られる大御所からの卓見あればと存ずる次第です。
 仕太刀、諸手伸ばし刀は手とほぼ平行に右斜め前でとめる。この時、抜く動作が大きくなりすぎないようにする。
 その間、仕太刀の目線は終始打太刀に向けられているが、打太刀左右と身を捨てて真っ向正面を打った一時は目線は外れるが、直ちに振り向きざまに目線を仕太刀に向ける。
 仕太刀は、それを確認すると同時に刀を返して脇構えとなり残心を表わす。
 次いで、打太刀は大きく振りかぶりながら右足を軸に左足を退いて仕太刀と向き合い中段となる。
 仕太刀は、脇の刀を振りかぶりながら右足を右に移し、打太刀と正対する。
 仕太刀が立ち上がってくるので、打太刀は左足を大きく退いて仕太刀が立ち上がってくる動作を呼び込むようにリードすること肝要に思う。
 当然、両者の刀は縁を切らないようにする。