老いぼれへぼ剣士の独り言《上》

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             竹刀が (しな)る(1)
 
 
竹刀はとても弾力があってしなやかにたわむのです。高段者による気合篭る正面打ち打突をスローモーション映像で見れば、凄まじいばかりに39竹刀が波状に (しな) (たわ)んでいるようすが見て取れる。
あたかもまさに破損寸前のようにも見える。真竹なるがゆえに強靭なる復元力を発揮する様子がよく分かるのである。
如何ほどの物理的衝撃が面布団に付加されるかは定かではないが切っ先の移動は90度に近く振り抜かれているので撓みの反動も手伝いある程度の跳ね返りは否めない。
謂う所の、太鼓を打つバチの動きに等しく、手の内の利いた打突なら当然跳ね上がろう。
通常の稽古では、跳ね上がった竹刀を極力抑えながら余勢で抜けることを教えている。
にもかかわらず、ある年の全日本選手権試合の決勝戦にて両者激しく正面を打ち合い、わずか0.009秒差で勝負が付いた折、勝者は余勢余って竹刀を高々と掲げて引き上げたかに見えた。
 
ここに掲載したスナップ写真は文中の場面とはまったく無関係