老いぼれへぼ剣士の夕雲考《55》

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古稀を迎えた高齢の夕雲が、血気盛んな三十過ぎの一雲を相手に真実の試合を三度も試みたという。
親子ほどの年齢差になる。
ど素人なりに判読すれば、真実の試合はウソ偽りではない真剣勝負という事になる。
わたしには、それが真実真剣であったのか、それともやはり木剣であったのか分からない。
いずれにしろ夕雲は、感極まって懐より数珠を取り出し、香を焚いて弟子一雲を拝しつづけたというのだから、やはり真剣で遣り合ったのででしょうか。
 
師の並々ならぬ執着心と只ならぬ意気込みを、一雲は見て取り肌で感じ取ったのだ
 
 
『夕雲流剣術書』ーはじめに(10)
 
小出切一雲のこと=その2
 
 一雲28歳の1657年(明暦3年)に針谷夕雲一門に弟子入りする。
 この時夕雲はすでに六十余歳にて古き弟子二千四五百人を数えたという。
一雲33歳の折、1662年(寛文2年)に師夕雲と真実の試合を行い、『相抜け』の技を三度為し遂げて、真面目という印可の巻物を師より受け取ったのだという。
つまり、無住心剣流剣術の免許の皆伝を授かったことになろう。
でも、この1662年に針谷夕雲は70歳にて、この世を去った。