老いぼれの犬日記《7》

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7 先が見えるような気がしてならない
かつて元気な頃はわたしを ( せ )かすかのように前へ前へと引っ張った。
ところがあの一件の後は、わたしに先んじて歩くことはめっきり減った。
のみならず、少々気掛かりな仕草にこの犬の行き先を案じざるを得ないのである。
あたかも目の前の蚊やハエを追い払うかのように突然からだを退け反らす。
そして、怯え切った目付きで必ずわたしの方を見る。
腰が抜けたかのようにしゃがみ込み、場合によっては後頭部を道路にぶち当てたようなに鈍い音に振り返ると地面に背中を付けて四足をバタバタさせているではないか。
声をかけると、何事もなかったかのように立ち上がり歩みはまた始めるには始めるのだが・・・
それにしても気懸かりだ。
気にはしないように努めてはいるが、この犬の老い先もそんなにも永くはないことを予見する昨今なのです。
犬なりに自分の醜態を ( さら )けるのを嫌ってかシャッターを向けるや否や直ちに立ち上がってしまう。
 
この投稿の日、様態急変せり。詳報は後日へ・・・