うらなりの記《118》

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第四章     まとめ  
 
 末成りのような生い立ちの身がよわいもう直ぐ七十八をかぞえる。
 末成りのような身ゆえ幾多の屈辱を背負うた。
 この感慨に耐え抜き、何ものかが此の末成りの身を加護してくれたに相違ない。
 
 小学校の同窓会の案内を今回も辞退することにした。
 末成りの身には同窓会とて居心地は決してよろしくない。
 やがて凋んでゆくしかない。
 
著名な民俗学者柳田國男氏によれば国内に存する名字の総数はおよそ八万に達するという。
その中であって、実に取るに足らないちっぽけな存在でしかない高橋の姓であってもその家系の流れはとにかく今も脈々と継続している。
過去には枯渇寸前で家名断絶の憂き目にも繰り返し遭遇したが、我らが先人たちは我執を立て死に物狂いで士分の存続にため武士の壱分を貫き通した。
それが、高が二十俵取りの足軽分際であっても並々ならぬ執念を燃やし続けたことに敬意を表さねばならない。
 
 
うらなりの家系とて移ろいの流れに身をまかせるにしても決して途絶えることだけはさせてはならない。