老いぼれの独り言

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取るに足らない日常茶飯事かも知れないがわたしに取ってはそうではなかった。
先だっての事、最寄りの交差点で信号待ちをした折に横断歩道を一台の自転車が横切って行った。
折しも横殴りの氷雨が吹き付けるなか雨合羽に身を纏った若者であった。
それは紛れもなくわたしの孫であることに逸早く気付いた。
車窓を開けて声を掛ける暇もなく通り過ぎて行った。
来春の受験を控えた高3の孫はまるで喜び勇むかのように力強くペタルを踏んでいる。
この荒天の中受験の重圧にも抗して全身が躍動しているように見えた。
遅刻するなよ、車に気を付けろよ、歩行者に注意しなさいよ、そして見事志望校を成就しなさいよと乞い願った。
何よりも、あの雨合羽はわたしのお古なのだ。
最早登山を断念せざるを得ないこのわたしは愛用のゴアテックス製合羽ではあったがプレゼントとしたもの、孫がわたしの代わりに愛用している姿を見て殊更嬉しかったのです。
お歳を召してしまったのか、このように些細な取るに足らない出来事に対しても感傷的に気持ちが揺れ動いてしまうのです。