老いのひとこと

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新調のプリンターの操作が儘ならない。
 つらつらマニアルに目を遣るが捗々しくいかないので例によって孫にSOSを発した。
 何時いかなる時を問わずに孫は快く引き受けてくれる。
 大助かりで孫なくしてわたしの存立が在り得ないとまで云えそうだ。
 いとも簡単に点検作業を終えて即座に修復してくれたではないか。
 有りがたいことです、頼もしい限りです。
 風呂に入ってゆっくりしなさいと勧めたが雪道が気掛かりなので帰るという。
 何とわたしの孫はとうとう車に乗って来宅したではありませんか。
 あの時のあの孫が車を運転する青年にまで成長したのです。
 何故かしら感無量だ。
幼稚園に通う頃まではわが家に同居し寝食を共にした。
 よくふれあい公園まで出向き補助輪なしの自転車乗りの特訓に夢中に取り組んだあの孫がとうとうハンドルを握るようになってしまったのです。
 お父さんのお古を貰い受けたのだと孫は何とも言えぬくらい嬉しそうな笑顔を浮かべて話し掛けて來るではありませんか。
 少なくとも此のわたくしは息子たちに乗用車をお裾分けした覚えはまったくないのです。
 わたしは息子たちに対しては極めて冷淡にして薄情の極みを盡したのかも知れません。
 それで、我が長男さんは父親からの仕打ちを反面教師として我が子には精一杯の誠意を尽くしたのでありましょう。
 見上げたことに相違ない、父子の絆をより一層確固不動のものと致すは此のわたくしとてこれ以上の歓びはないのであります。
 
 雪道の運転は急ブレキーはだめだよ、シフトダウンだよと念を押した。
 孫の車がウインカーを出しながら突き当りの小路を右折するのを確と見届けたのでした。