老いのひとこと

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素焼き済みの均整を欠くいびつな花器です。


 円筒形の形を自然な流れでしだいに方形に近付けようと試みたのだが上手く行かなかった。


 おまけに、輪積みの襞がところどころ醜く残ってしまった。


 そこで、此の目障りな襞の部分を敢えて深く抉って窪みを誇張してみようと思った。


 ところが、彫刻刀を入れて見るが歯が立たず今少し思い切りよく大胆に彫ればよかったと思うのです。


 この窪みの部分に「鉄赤」を流し込んでアクセントとして其の上に「浪白」を一様に描けてみようと恐るおそる禁断の部屋と思しき釉薬室に入った。


 何せ、色彩感覚に疎く度を重ねて失敗を繰り返すので或る種のトラウマが作用し何となく入り辛いのです。


 


 やはり、案じていた通り今回も上手く行かなかった。


 イチ ニイ サンで一風呂浴びせばいいものを把手の箇所をあれこれ替えている間にムタムタと数秒間もお薬の中に浸してしまったのです。


 大きめのマメで空間をつくったのだが恐らく釉薬が滴り落ちて窯の炉の底部に達するは必至とみるのです。


 難産の末ハンマーによる切開手術は間違いなさそうなので哀れな落とし子を見るのはやっぱりどうしても忍び難い思いがするのです。