老いのひとこと

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先日の事、羽咋市の歴史民俗資料館を訪問した折階下の展示物を隈なくそぞろ歩いて見学いたした。


永光寺 ( ようこうじ )蔵の山岡鉄舟筆の襖書や河鍋暁斎筆の鉄舟像など興味は尽きなかった。


その間30分ほどだったでしょうか階上の何処からでしょうか絶え間なく何方 ( どなた )かが語り口調で滔々と話されているお声が聞こえてくるのです。


決して耳障りにはならなかったが熱心なお方がいらっしゃるのだなあと感心しながら聞き入っていたのです。


次いでわたしは階段を上り詰めますれば待ち構えていたかのように一人の老紳士が両手を広げてわたしを歓待なさったではないか。


云わずと知れたその老紳士は村本義雄トキ博士に他ならなかったのです。


新聞紙上やテレビでお馴染みのお顔お姿でまさに地元有名人と面突き合わせてしまったのです。


事務方との打ち合わせ中にもかかわらずわたくし一人を客人として歓迎なさったのです。


まさしく朱鷺のような優しい眼差して実に人懐っこく応対為される。


止めどなく淀みなくしかもエネルギッシュに途切れることなくトキ談義を延々と展開為されるのです。


相槌を打ちながら軽い質問をいたせばその問答談義は実際尽きることはなかったのです。


お話し好きの情熱家でいられた、トキのためにわが全生命とわが全人生を惜しげもなく捧げる崇高なるお姿がわたしの目の前にいられる。


偉ぶった気配はどこにもない、至って庶民的な田舎風の好々爺に違いない。


近くにある朱鷺保育園の園児たちが誕生祝にプレゼントされたというトキの絵を何んとも嬉しそうに誇らしげに一枚一枚ご丁寧に解説して下さったのです。


卒寿を祝う園児と卒寿を祝福される村本さんとが一体となって一枚一枚の絵の中に凝縮されているように思えた。


日中友好の懸け橋となって東奔西走為されたトキ博士は遂に偉業を果たされた。


彼の江沢民主席が事も在ろうに今上天皇のもとに番のトキを献上し進貢し奉った其の立役者が外でもない此の村本義雄氏に違いない。


一度は我が日本国より絶滅の悲哀を見た此の「Nipponia Nippon」の生命体を蘇生させた朱鷺の命の恩人であり又日中親善の為に自分の人生を捧げた偉大なる人物がわたくしの目の前にいらっしゃる。


わたしは偶然にも得難き貴重な体験を頂戴しまるで雲の上に居るような心境でした。


なお、途中より同じく鳥類保護分野の第一人者で居られる長門秋男氏にも同席いただきお話に色を添えてくださいました。


図らずも、実に有意義なる一時を持てたことに感謝いたしております。