法定の事≪5≫

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法定の事=八相発破その5


 


諸腕は山田次郎吉の解説によれば古来より此れは介錯の練習なのだという。


どうも仕太刀の左右の手の内の締まりが均等かどうかを試すものらしい。


切り下ろすと同時に右膝を大きく掲げ右腕をその膝の上に置く動作は手の内の狂いを防ぐためのものらしい。


今様に捉えれば無安定な一本立ち姿勢は不可解に思えるが介錯時の手の内の誤りを避けるためならば肯ける。


また、片足一本立ちと云う不安定な姿勢を強いるのは如何なる逆境悪条件にも怯むことなく耐え抜くことを求めているのかも知れない。


ただ、少しく解せないことは政岡壱實著大森流7本目介錯の教えに従えば右肩の上方に構えた刀を右足を踏み出すと同時に斜めに振り下ろし其の途中に左手を添えるのは両手で切る為ではなく刃筋正しく切り正しく止める為なのだという。


つまり、刃筋正しく引き切りすれば軽くても片手切りで介錯が適うのだということになる。


流派により介錯の解釈が異なることが解かるのです。


 


 


⑳-1


 打太刀は左足を斜め前に踏み出し確と八文字に踏み固める。


 木剣の刃を前にして水平に持ち両手の掌は上向きに脇を固めてどっしり腰を据える。


 特に右肘は体側にしっかり宛がい目線は仕太刀に注ぐ。


介錯を受ける者の心胆を鍛える由縁があるという。


⑳-2


 仕太刀も左足を斜め前に踏み出し八文字に踏み固める。


阿形にておもむろに諸手上段に振りかぶり目線は打太刀に注ぐ。


㉑-1


 打太刀は、仕太刀の打ち下ろす木剣の衝撃を手の内柔らく受けることにより振り落とされ垂直となるが左手で柄頭を確と支える。


 此の時、仕太刀の発する掛け声に合わせヤエーと入れる。


㉑-2


 仕太刀は振りかぶった木剣を思い切りよく打太刀の物打ち目掛けて打ち砕き大きくヤエーと発する。


 地球を真っ二つに両断する激しい気勢が要求される。


 同時に、右足を蹴り上げ一本足の姿勢で右腕を右膝に置く。


 俗説によれば打太刀の急所を蹴り上げるのだという。


㉒-打太刀、仕太刀ともに直立閉足姿勢で相正眼に構える。


㉓-相正眼のまま送体に移る。