老いのひとこと

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盆には孫たち総勢六人が勢ぞろいしわたしたちをねぎらって呉れる。


嬉しいことです。


確かにその通りだが家内にすれば真逆で手料理作りでてんてこ舞い、ぼやきたくもなりましょう。


先ずは七輪いっぱいに炭火を起こしバーベキュー大会まがいのお持て成しに始まり、次の日は日本海の白波とたわむれ合う。


翌日にはカブトムシやクワガタを求めて樹林の中をさまよい、最終日には四基の墓地を巡り小さな手を合わせ判らぬなりにも仏心を可愛らしく表現してくれた。


家に帰れば、いつものように仏壇の前にみな端座し懇ろに合掌する姿には只々感心させられる。


かれ等の幼気な信心ごころを見せ付けられとわたしらには身につまされる思い一入なのです。


一陣の風が舞い降り、そして吹き去ったにひとしい。


最終日になれば、殊の外元気一杯の姿をわたしらに披露し、爺婆へのねぎらい任務がいま成功裡に終えたことを精一杯訴えているようにも覗える。


とても正直で良い、人間誰しもそんな心境に相成りましょう。


その通りです、何の不自然さもないことなのです。


みな夫々が田舎の思い出を胸に帰って行った。


 


翌朝、宴の後の静まり返った我が侘び所帯には何とも言えぬ複雑なるため息に似た寂寞たる雰囲気が漂ったのです。