金沢弁であんた「こんじょよし」だねと云われればあなたは頓馬で間の抜けたお人好しさんと云うことになる。
わたしは「こんじょよし」で良いのです、一向に構わないのです。
確かに種を蒔くお世話こそ致せども此の畑も大根菜も他人様の所有物です。
所有権はあるはずもない労働をこそ提供すれどもその対価は戴きません請求もいたしません。
だから「こんじょよし」になるのです。
そんな「こんじょよし」で十分なのです満足致すのです。
こんなわたしにからだを動かす場所と機会を授けて戴けただけで大いに感謝いたすべきなのです。
間引いてスグリ菜を採取する先に先ずは草むしりを致さねばなりません。
かんからかんに乾き切った地中に生きる雑草を根こそぎ退治するはそれは大儀なのです。
雨を待ってからの作業に先送り致すことにしよう。
地主さんの指示や意向とは関わりなくわたしの判断で小作人の矜持を保ち得た。
納入期限はない、選りすぐった大根菜は水洗いせずに地主宅のもとへ届ければそれでよいのです。