老いぼれへぼ剣士の独り言

いつものふれあい公園でのトレーニングのさ中、人の気配を感じ振り向くと外国人の親子であった。
お父さんの号令で柔軟体操が始まる。
どうも、脚を主体とするサッカーの準備運動のようにも伺える。
次いで、三人お揃いでランニングに入り、リンゴ園の中へ消えていった。

わたしは、いつもの手順に従い芝生の感触を味わいがなら思い切りよく右足踏み込み打突を確かめた後、今日の稽古を終えた。
帰り支度をしていると父子が近付き親しげに語り掛けて来た。
“それを見せてください。”“持たせてください”と催促する。
嚢竹刀仕立てに作った素振り用の竹刀を珍しそうに手に取り、わたしの真似事を始める。
とても茶目っ気のある若きお父さん。弦を上にして左手で柄頭を持ちますよと説明が弾む。
嬉々として振り切っていられた。
わたしはナイジェリア系のアメリカ人です。名前をチリーと申します。
あなたの御名前を教えてくださいと結構流暢な日本語で屈託がない。
わたしは調子に乗って袋に携えていた日本刀をお見せしたのだけど、彼は何か別のことをイメージしたのか然程の関心を示さなかった。
やはり、凶器に映ってしまったのか。国際理解はおいそれとは行かないものだということがよく分った。

小学1年生の息子さんもとてもしっかりした日本語で応対してくれた、娘さんも素直そうな良い子だった。
甲子園が気掛かりだったので早々に失礼したのだけど
わたしなりに国際親善にわずかながらも寄与できたと気分は爽快だった