老いぼれへぼ剣士の独り言

 
政権交代の再来に胸ときめく
 
野田新代表は勝つべくして勝った。
わが身命を賭して、全身全霊を捧げる意気込を一心不乱に訴え続けたのは馬淵澄夫氏と野田佳彦氏であった。
その根拠は極めて単純であって、この両氏こそは終始、中をにらみ見定め聴衆に、延いてはレンズ越しの主権者への直訴であった。
決して、机上の原稿へ目線を落とすことはなかった。
だた惜しむらくは、馬淵氏は引例に田中角栄氏を用いたことは旧政権での金権政治の再来をイメージさせ致命的汚点となった。
但し孤立無援の一匹狼的存在ながら、その孤高を持する心意気は高く評価したい。
 
前原誠司氏の出馬の動機が今少し不純で納得がいきかねた。
野田氏の力量を見縊ってしまったのか。
野田氏の胆力では現執行部の意向を十二分に代弁し切れないと勘ぐってしまった前原氏の政治家としての先見の目は稚拙であったといわれても仕方がない。
演説も覇気を見出せず、この人独特の強烈なる自己主張が終ぞ見られずじまいに終わった。
松下政経塾の兄貴分を引き立てる雅量が何よりもほしかった。
外国人献金問題を引き合いに出すは負け戦の弁明に過ぎず決して戴けない。実に見苦しかった。残念であった。見損なったといわざるを
得なかった。
 
鹿野道彦氏は思慮深き政治家らしく、決してわが身を敢えて引き立てる挙動は厳に慎み控えられた。
その謙虚さは、日本人の美徳として高く評価したい。
でも日本人の心情や心意気、和の精神とか互譲の慈しみだけでは、今日置かれている危機的国難を克服するにはやはり物足りなかったのではなかろうか。
でも潔く、上着を取り同志へシグナルを発信した、その男気には惚れ惚れした。
 
下馬評では圧倒的優位さを誇示した海江田万里氏は豈はらんや終始守勢に回り精彩を欠いた。
等しくみな自分の言葉で堂々と自己主張をなし、聞く者に何がしかの
感動や感銘を与えていた。
処が、この海江田氏にだけはそれがなかった。
論旨に首尾一貫性がなく支離滅裂なことを上擦っていたのです。
その理由も実に単純明快なことになろう。
即ち、この海江田氏は自分の言葉で自分の考えを訴えることがほとんどなかったといってよいのです。
演説の合間に、小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏のお顔を彷彿とさせ、またこの両者の心情を斟酌するあまり論考が中断し焦点が呆けて曖昧になってしまった。
それにしても仮に、海江田万里と称する政治家が此の事を敢えて事前に察知した上で堂々と演出したのだとすれば話は全然違ってくることになる。
いずれにしろ、数億円の献金問題の渦中にる金権政治家の権化と申すべき、此の御両人とはきっぱりと断絶した形で民主党政権が誕生したことはこのうえなく喜ばしきことなのであります。
 
ただ、蛇足ながら吾らが郷里の代弁を相務める先生方は、お一人を除き挙って海江田票に回ったのだと報じていた。これ如何に・・・