阿修羅
夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(4)
②【數度の場に逢て、自己に勝理を合點して、内心を堅固にすわる事、當世諸流の秘傳極意と云う物よりもなほ慥かなる者多し、】
口語訳
このような修羅場 ( しゅらば )を何度も潜り抜けた兵 ( つわもの )どもは勝つことの道理 ( どうり )とか理合 ( りあい )を何時の間にか会得 ( えとく )し、生死のはざ間に立っても決して動揺することなく心の内が堅固 ( けんご )な、いわゆる肝 ( きも )が居座った輩 ( やから )が輩出 ( はいしゅつ )していった。
そのようになれば、この世にあるいろんな流派の秘伝とか極意 ( ごくい )というものよりも、ずっと確かなる実力だけを身に付けた侍 ( さむらい )たちが出現し始めても決して不思議ではない。