その2=台湾のスクーター
兎に角やたらとスクーターが目立つ。
異常と云っていいくらいに夥しい数のスクーターが一斉に爆音を立てて疾走する。
此処には未だに、企業戦士が健在だということだ。
出勤時刻に遅れまじと青信号の合図と共に間髪を入れない好スタート、出端を捉えて二三十台が一斉に動き出す光景は凄い。
実に壮観であって、お見事としか言いようがない。
ヘルメットにビニール製雨合羽を帯びて街中を我が物顔で疾走する。
四ツ輪の車が渋滞すれば縦横無尽に縫うようにスイスイと飛び跳ねて突進する。
歩道のいたるところが駐輪場に早変わり、所狭しと居並ぶのである。
それがまた、心憎いばかりにあたかもメジャーで計ったかのように整然と並ぶのである。
几帳面な国民性の為せるわざなのでしようか。
恐らくは、数年後の此の台湾国の経済発展が軌道に乗って躍進した暁には、これらスクーター族は皆悉く四ツ輪の高級車に乗り換えて、この国の道路と云う道路を埋め尽くし須らく大渋滞で悲鳴を上げることになりはしまいかと懸念する次第。
帰国を果たし、わたしたちのお国にはどうした事か無茶苦茶にちゃりんこ族が矢鱈と多いことに驚かされた。
とりわけ、大阪の下町界隈でそのことに気付いた。