うらなりの記《93》

イメージ 1
 
母への想いー(8)
 
『母の思い出』
 
⑧今でも忘れはしない。薄暗い流し場で残滓を物色している凄惨なる母の姿を思い出すたびに無性に涙が溢れて仕様がない。
 
同時にあの時、母はなぜ毅然とした態度でわが子の余りにも恥ずかしい行為を身をもって制止しなかったのかと自問してみた。
 
口にするものが枯渇したとき、生命を維持してゆく術を知らないかよわい貧民にとっては、犬畜生にまで倫理観や価値観を凋落させねば生きてはいけない、そんな時代があったことを何より教えてくれている。