老いぼれの独り言

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 昨日は公園周囲のドブ掃除にダメを押さんと一人挑戦した。
 処がまだまだ相当量の残余が目立つ、些か魂消たが仕方がない。
 素晴らしい花を愛でたその代償に他ならない。
 当公園自慢の桜並木の為せるわざには間違いがない。
 鋭意取り組んでいる最中、少年が一人ボール遊びを始めた。
 キャッチボールの相手を公衆トイレの分厚き壁面と定めて一人遊んでいる。
 飛び出して行って即刻その場で咎めようとは思ったがわたしは敢えてその少年のボールを受けてみようと決意した。
 幸い公園の倉庫に町会所有のグローブの存在を知っていたので暫し彼とのボール遊びに興じた。
 何と使用球が硬式ボールではないか。
 彼は某高校の野球部員であることは知っていた。
 手加減して投げてもらったが手元でびゅーんと球が伸びる。
 グラブに小気味よく吸い込まれ快音を発する。  
 いつの間にかわたしは無我夢中になっていた。
童心に返っていた。
 10分余りの短時間ではあったが八十に間近い老人がはしたなくも少年と共に奇声を上げ合った。
 
 そのあと再びドブ攫いに挑戦し仕事を終えて帰宅し、暫し間を置いてからわたしは少年宅に赴きおもむろに語りかけた。
 聡明なる彼はわたしの言葉の発端で全てを逸早く理解したようだ。
 恐らく二度と再び彼は壁を相手にキャッチボールに興ずることはないでしょう。
 むかしの名画「禁じられた遊び」がふと思い浮かんだ。