老いぼれの独り言

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骨肉相食むような醜聞を平然と披露する愚か者が此処にいたのです。
 
義理の両親の他界後事業を引き継いだ義弟が放漫経営がもとで巨大な不良債権を抱え自己破産した。
愚かにも連帯保証の捺印を為した此のわたしはそのとばっちりで世の仕来たり通り尻毛も抜かれ全てを失ってしまった。
冷酷非情な金融機関は拙宅をば競売に付すべく裁判所へ提訴するに及んだ。
止む無く、わたしはわが退職金の全額のみならず生命保険の解約金までも上乗せし無慈悲極まり無き金融機関へ呈示し我が家屋敷だけは死守致した次第なのだ。
 
此の連休には大阪の息子夫婦と共に慣わし通りに墓参りをした。
驚く勿れ其処で何をこそ見たものか。
義父義母の墓石が美しく新調されているではないか。
建立者名は紛れもなく義弟名ではありませんか。
何と今年の四月末日の日付に目頭がくらくらしてきた。
わたしに一言の断りなしによくぞ為し得たものかと呆れ返った。
決して身内とは思わぬにしても此れほどの人間が此の世に存在する事にわたしは最大の侮辱感を味わった。
息子が我が親の為に墓石を施工致すこと自体には何ら異存はない、大いに結構なことに違いない。
それならば何ゆえ、此のわたしに一言断わりの弁明を入れてくれなかったのか。
わたしは義弟に完璧に舐められてしまった。
何せ、未だ嘗て誠意の籠もった謝罪の言葉すらない。
おまけに、びた一文も弁済金を払おうとはしない。
盆暮の挨拶もない。
 
真実おのれの非を認め非を弁解し心底からの呻くような詫び状が此の時に至るまで未だにないのだ。
 
今此処にまたしても、此の世の不条理をまざまざと見せ付けられてしまった。
 
処が、不条理を許容し受容するだけの度量も雅量も器用さも此のわたしは持ち合わせてはいない。
泥臭いちっぽけな下らん人間かも知れません。
わたしはその程度の下種なる人間なのである。
それでも一向に構わないのです。