老いのひとこと

イメージ 1
 
 
 
人口衛星からの気象データーの間隙を縫って敵前上陸を果たしたようなものだ。
今日の天気予報は終日雨マークが並ぶにも拘らずラジオ体操が成り立ったし朝飯を摂った時点には薄日すら差し込む状況ではないか。
咄嗟の思いで峠越えを敢えて試みることにした。
云うならば、「先の先」ではなく「後の先」にて懸ってみることにしたのです。
不測の事態もあろうかと念のために雨合羽を着用したのだが結果的には正解であった。
何時もの昼下がりではなく通勤通学ラッシュ時だけあってみなさん躍動的で身のこなしが忙しなく感じる。
みな夫々がおのれの務めに正対し鋭い目付きで焦点を見据え気勢を上げているように覗えるのです。
峠道に差し掛かると普段は見ることがない「外環」が自然渋滞を来たし長い車列を呈しているではないか。
今も昔も気鋭の「働き蜂」には違いがないでしょうが雇用の形態が複雑化してしまったのでドライバーたちの心中はあの往時の頃からは大分変わってしまったのではなかろうか。
 
「中四十万」の交差点で信号待ちをしていたら信号の向こうにいた登校途中の小学生が何かを落としたまま大通りの歩道を渡って行ってしまったではないか。
大声を張り上げたつもりだったが車の騒音に掻き消されて気付いては呉れなかった。
わたしは落とされた手袋の片方を拾い急いで届ければ大きなお目目の可愛い女の子は「どうもありがとう」とうれしそうに頭を下げていた。
「2年生です」とはっきりした口調で答えてくれたのでとても気持ちがよかった。
 
その内、雲行きが急変し辺りが薄暗くなったと思いきや案の定ポツリポツリと中って来たではないか。
丁度、「なでしこの丘」付近では本降りとなったがペタルを踏み込んで有りっ丈の全力疾走で帰路を急いだのです。
確かに、雨合羽が間違いなく功を奏したことになったのです。
斯くしてわたしの一日が動き始めたのだがアッと云う束の間にわたしの一日は終わりを告げてしまいました。
二度と再び戻って來るはずもない一日だと思えば思うほど遣る瀬ない思いがつのるのです。