老いぼれの夕雲考《121》

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夕雲流剣術書        小出切一雲 誌(47)
 
 一雲流の人としての生き様を解く説法のようだが至って抽象的で難解なのである。
 
人の道の修行
 
【火にあふてはあぶり乾し暖め燒く事を行ふ、其中に過不及の了簡は良智より出づべし、水に逢手は洗潤し和ぐる事を行ふ、其中に過不及の了簡は良智有て自然に出づべし、其の外金木土一切萬物、一物あれば一理づゝは備はる者なれば、夫々の理に背かぬやうに法り行ふを當然と云ふ、事物當然の理を能く知り明むるを人の要とす、】
口語訳
 
例えば、火に出逢ったならばものを炙ったり乾かしたり、あるいは暖めたり焼いたりすることでありましょう。
水に出逢えば、ものを洗い潤し和らぐることになりましょう。
そうした中にあって、若しや常識はずれの事態が生じた時の判断は人間がもともと持つ良知良能が自然に作用して呉れることになりましょう。
これ以外の金・木・土など一切の事象は、一つの物に一つの道理が備わっているのだから、一つ一つの道理に背かぬように理に則って行動するのが当然なのであります。
人間が創り出したさまざまな物事に対し当り前の道理をよくよく知って明らかにして行くことが人としての基本であり要でもあるといえるのです。