法定の事≪2≫

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法定の事=八相発破その2


 


⑨吽形にて左足右足と肩幅ほど前へ進み出る


 やおら右手木剣を水平にして前方に翳す


 


⑩―1打太刀は


 左右の足前方に送り閉足立ちとなり同時に木剣に左手も添えて右斜の構えに変じ次いでやおら諸手上段となり更に左足前へ送り満を持す


⑩-2仕太刀は


 仕太刀も左右の足前方に送り閉足立ちとなり同時に諸手上段を取りやおら右八相の構えに変じ更に左足前へ進めて激しく攻めの気勢を示す


 


⑪-1打太刀は


 仕太刀の右八相からの激しい気攻めに対し打太刀はその先を取って無防備なる仕太刀の脳天を打ち砕くべく右足を前へ攻め込みながら真向正面を打つべき処仕太刀の気勢に押され左足退いて正面相討ちとなる


 耳を劈く「ヤエイー」の掛け声が響く


⑪-2仕太刀は


 右八相の仕太刀にすれば脳天はもとより左の籠手も打太刀に曝し戦況は絶体絶命勝つ見込みは絶無に近い


 しかし私恨に非ざる天命を請けた仕太刀の太刀は


打太刀の起こり頭を奇跡的に捉え「後の先」にて九死に一生を得る


 相手は技上位の強者ゆえ早すぎても遅すぎても九分九厘勝ち目はない


 此の「後の先」は絶妙の起こり頭を捉えたことになる


 八相発破の名の由縁はまさに此の鹿島神傳一ノ太刀にある


 勿論「形」なるがゆえ打太刀退いて勝負なしに終わるが実戦にては仕太刀の太刀が打太刀の太刀を切り落とし(打ち落とし)て八相剣が真向上段の剣に打ち勝つ ( ことわり )となる。


 仕太刀も間髪を入れずに「ヤエイー」の掛け声を発す