県連の稽古納めに参加した。
まさか防具を担いで二刀流を仕出かすわけにはいかないので前半の居合の部にだけ顔を出すことにした。
今年はどうした事かジュニアの人たちが目立ち道場が手狭に感じるほどの賑わいであった。
皆さん夫々程よい空間を確保して無心に稽古に精を出されている。
偶々、わたしの右隣には県下でも著名なる剣士の御方が陣取られる。
真横の彼の真向斬り下ろす凄まじいばかりの刃音には実に魂消てしまう。
澄みきった道場の空気を斬り裂く鋭い反響音は一際目立つのです。
勿論、予め作為があったのでは決してない。
彼の振り切った真剣がわたしの右の耳もと近くを通り過ぎたように感じた。
当然のことながらその距離は優に1メートル以上は離れてはいたのだがわたしは一瞬不覚を取ったと実感してしまった。
恐らくは、斬れる居合の名人の手に掛かれば斯くの如く痛くも痒くもなく切り伏せられる。
竹刀剣道とて何ら変わりなく一刀のもと一刀両断いたすほどの手の内が求められるのでしょう。
決して、腕力や体力ではない。
刃筋正しく剣尖がいかに鋭く走るかに掛かることだと思う。
脱力と手の内の妙、修行はまだまだ続くのです。