『剣道はすごいぞ』
―伝統と文化を大切にしてよりよい日本国をめざそうー
観戦マナーに関する規定はどこにもない。
なぜ剣道だけに変則的な観戦ルールがあるのか。
言うまでもなく剣道の源流は人を殺傷する武器として作られたつるぎであり太刀であり剣でもある「日本刀」を用いたお互いの命のやりとり、つまり息の根の止め合い殺し合いを執り行なった事にさかのぼりましょう。
言葉はよくないが人殺しの術を修行する時代が間違いなくあった。
命を掛けての勝負なら当たり前のこととして勝ったものは生き延び負けたものはその場で絶命してしまうこととなりましょう。
勝負はただ単なる言葉の上の勝ち負けではなく、生きるか死ぬかの真剣勝負であったのです。
だから、それ故に剣道の試合で相手が深手を負って傷つき瀕死の重傷の様を見て、声を上げて囃したり拍手をして喜んではいけないことがわかるはずなのです。
絶対に人間として許されない行為なのです。
人間としてとても恥ずかしい行いであることに気付かねばならないのです。
そうすれば応援席からもっと攻めろ、前へ出ろと大声を発すること自体、大げさに言えば本来の剣道精神に反することになりはしないでしょうか。
いや、厳密に言えば、むしろ自軍の勝利にすら拍手を送ってはいけないこととなりましょう。
でも、現実には競技剣道として試合ルールのもとで最低限のマナーが形作られていった。
つまり、自軍のポイントゲット時点にだけ拍手で健闘をたたえるのである。
この剣道競技の特異性と言おうか独自の競技上の性格をもっともっと前面に大々的に押し立てて世間一般へ強烈にアピールすべきだと思うのです。
他のスポーツ競技と異なる剣道競技の独自性を惜しみなく、躊躇する事も無く堂々と剣道をよく知らない全ての人たちへ、のみならず更には全世界に向かって高らかに主張してもよいことだと確信をもって言いたいのです。
そうすれば今、巷間に伝えられる『美しい国、日本』は仰々しく喧伝しなくても、真に迫る静かなる剣道ブームの再来によりいともたやすく達成されはしまいか。
本当の『美しい国、日本』の発信源は剣道人たちでなければならない。
なかんずく、少なくとも剣道を志したものたちはすべからくこの厳粛なる意味合いを常に念頭に入れておかねばならぬことだと思うのです。