法定の事=一刀両断 その1
法定の形は古流剣術です。
でも、斬った張ったの人殺し術を賛美し是認するものでは決してない。
古の剣客たちはぎりぎりの線で無駄死にを避け戦わずに済む平和を希求する剣の哲理を真剣に追求したのです。
恐れ入り頭が下がる。
此の法定の形の極意、鹿島神傳一ノ太刀の教えは諸手上段の太刀が邪剣であるが故に隙を曝す八相剣がそれを迎え撃たざるを得ない。
相手には邪悪な心が無く正剣ならば八相剣が火を噴くはずなく膠着したまま仕合は成立しないのです。
針谷夕雲の「無住心流」神谷傳心の「直心流」然り、また「平常無敵流」も「谷神傳 ( こくしんでん )剣術」もみなみな無駄な殺戮行為を如何に回避するかを懸命に模索したのです。
法定の形二本目「一刀両断」は真夏の気勢で執り行う。
灼熱の炎天下燃え上がるような激しき気勢で勇気を掻き立てる。
一本目「八相発破」は仕太刀は「後の先」で勝利を得た。
二本目此の「一刀両断」は互いに先の気構えで対峙するが仕太刀は「先先の先」で打ち込むことになる。
1.-1(打太刀)2(仕太刀)共に
- 9歩の間合いにて、閉足直立で正眼(精眼)の構えを執る。
- -1、2共に上半圓の動作に入る。夏の気勢で激しく俊敏に執り行う。
- -1,2共に互いに上半圓を描き終わるや否や直ちに木剣を上段に掲げる。
- -1,2共に互いに上段姿勢のまま左足右足と一歩大きく踏み出し閉足直立で正上段の構えとなる。
- -1(打太刀)は上段の木剣を急激急速に下段まで切り下ろし、その反動で跳ね上げ再び上段の構えとなる。切り下ろす際に腹の息を一気に吐き出し「エイ」の掛け声を発す。反動で跳ね上げれば自然に息は吸い込まれる。此の動作を「非打」の太刀と称す。
⑤-2(仕太刀)は
仕太刀は打太刀に準じて遅速なく従う。
6-1(打太刀)は
- 閉足直立正上段の姿勢から徐に左足を前に進めて仕太刀の打ちを誘う。
6-2(仕太刀)は
- 同じく、閉足直立正上段の姿勢から左足を前に進めて打太刀の誘いには乗らずに返って激しい気攻めにいく。
- 7―2(仕太刀)は
打太刀の気が動きその起こり頭を見事捉えて仕太刀は先の技にて「ヤエー」と正面に行く。
此の際は、間合いが近いので右足を左足まで送って打つことのなる。
7―Ⅰ(打太刀)は
- 打太刀は仕太刀に押されて前にある左足を右足まで退いて同じく「ヤエー」の発声で正面を打つことになる。