剣道はすごいぞ≪12≫

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『剣道はすごいぞ』


   ―伝統と文化を大切にしてよりよい日本国をめざそうー


 


 


『剣の五徳』は今いずこ


 


 昔から『剣の五徳』という言葉がある。一つ正義 二つ廉恥 三つ勇武 四つ礼節 五つ謙譲。


 剣道人のあるべき姿であり戒めでもあり日々の錬磨において此の徳目を磨き上げねばならぬ責務を担うのが真の剣道人、取り分け高段者と呼ばれる人たちであるはずなのです。


 殊の外、謙譲の美徳を謳っているのは、とかく高段者の中には剣の実力に物を言わせて多少鼻っ柱の強い高慢臭い御仁の存在は否めないのである。


本来、段位や称号は決して階級でも序列でもないにもかからわず道場ではおのずと上座に位置し誰しも疑う事無く自他共に認め合っているのが実情に違いない。


従って、斯様なる高段者に対し『やましからざれば千万人といえども我行かん』の心意気で正義心や義侠心を燃やして諫言に及ぶ者は皆無に近いのだろう。


また、『義を見てなさざるは勇なきなり』をモットーに勇武の挙にでる蛮勇の主も多分いないことだろう。


恐らく、礼節の心に余りにも忠実であるがために、上位のものにただただ頭を下げて諂うだけなのだろう。


果たして、廉恥とはいかなる意味合いを持つ言葉なのだろうか一考すべきじゃなかろうか。


 


 


 兎角、何事によらず一般的な此の世の習いとして勝ち馬に跨り弱者を見縊るような傾向がありはしないだろうか。


しかし、此のことが如何ほどに見苦しいことか、いわんや此の五つの徳目にことごとく抵触することぐらいはこどもですら理解できようことに何とも嘆かわしい限りではありませんか。
いや、子どもの世界には既にとうの昔に蔓延いたしているのではありませんでしょうか。